2014年1月15日水曜日

【特集】『アフリカ』第22号(2014年1月号)

 とりあえずしゃべってみるしかないという感じだった。(片山絢也「入鋏省略」より)

 今日の関東地方は、雪の予報ですが、道草の家ではまだ降っていません。いや〜、さむいですね! いかがお過ごしでしょうか?(ストーブにあたりながら書いてます。)

 さて、『アフリカ』第22号(2014年1月号)ができました。定期購読の皆様はじめ、すでにお手元に届いている方も少なくないと思います(店頭で買ってくださっている方へはスミマセンが、これからです)。今日15日が発行日になっています。なので、ざっとご紹介を!


 表紙は、これ。先日も書いたとおり、リンゴです。今回の編集後記は、年末に亡くなった大瀧詠一さんのことを書いていますが、大瀧さんはリンゴを食べているときに急に倒れて亡くなった、と言われています。「ナイアガラ」という「場」のプロデューサーとしての大瀧さん(のエピソード)に、ぼくがどれだけ学んだか? ということを少しだけ(編集後記の1ページだけなので、今回はほんとうに少しだけ)書いてます。


 トップは、バンビ(犬)から新年のご挨拶「Happy New Year ! from Bambi」(翻訳:鈴木永弘)と、お馴染み高城青による「除夜の前、おおつごもりの日」と、新年ネタ(?)です。例によって、正月が過ぎても、関係なく年中読める内容です。
 バンビさんは年末、なんと、関節炎になっていたそうです。いまごろ、どうしてらっしゃるかな?


 今回は久しぶりに、守安涼くんの写真が、あちこちに登場します(ちなみに、このワンちゃんはバンビさんじゃないよ)。


 片山絢也「入鋏省略」は、営業の仕事のついでに嵐山散策をしている上司、部下のスケッチのような短篇です。いまの30代くらいの…という言い方はしたくないのですが、ぼくにはまったく他人事ではない、ある「仕事」観が、さりげない夜の嵐山でのひとコマと共に書かれています。
 部下である彼の「考えている」ことと、目にうつる嵐山の光景が、重なっていくのですが、読者であるぼくは、「そうだよ!」とか「それはちがうよ!」などとは言いたくない、ただ、そこにある夜の時間を共に過ごして、意味をなすことば、なさないことばをポツ、ポツと話しながら、しばらく一緒に歩いてみたいと思ってます。(くり返し読めば読むほど味が出そう?)


 黒砂水路「校正以前」の、4回目。今回は「素読み」の話です。気になる方は、ぜひ1〜3とあわせてお読みくださいね。まだ、この先もありそうですけれど…。黒砂さんが、「ゲラ」を、どのようなものに感じているか、今後深まっていくと面白いな〜と編集人は勝手に思ってます。


 芦原陽子「妊婦体験記 - 前篇」は、タイトル通り、そのまんま! ですネ。高城青のイラストとのコラボレーションです。芦原陽子は、昨年の1月号(第18号)に「光」というタイトルの小説で流産のことを書いていて、そのころにも思いましたけど、「妊娠」にかんすることも、じつは体験するまで、ほとんどなぁ〜んにも知らない状態でした。「知っているようでいて、知らない」ことは、まだまだ山ほどあるんでしょう。また、「ひとりひとりちがう」とも言えますからね。あるひとりの妊婦からみた「景色」が、いろいろ書かれてます。 
 『アフリカ』では以前、犬飼愛生さんによる「予定の妊娠」「おっぱい日記」などがありましたが、『アフリカ』の以前からのファンの皆さんは、読み返してみると面白いかも?


 今回はぼくも書いてます。下窪俊哉「「外出」という仕事」は、昨年一年間、障害福祉をめぐる仕事をしながら、ずっとあたためていた作品。
 障害をもつ(と言われる)彼らと「つきあう」仕事が、たとえば具体的にどのようなものなのか? 彼ら当事者(家族や支援者を含め)の問題とか、この社会の抱える問題をあげつらうのではなく、彼らへの「共感」と共に書いてみたい、と思っていて。ひとまず今回は、原稿のなかで、彼らと一緒に町を歩きながら、いろんなエピソードを拾い上げてみました。
 「障害をもつ」というのが、いったいどういうことなのか? という考察は、ちょっと「さわりだけ」という感じですけど、中盤以降の「ことばは得られるか?」というところが、書きながら自然とわき出してきて、キモになっているかな?


 今回のラストは、高城青のお馴染みエッセイ漫画「それだけで世界がまわるなら」〜サブタイトル「堂々と無職、のその後」です。「堂々と無職」といえば…


 昨年5月号(第19号/ヨットが表紙の号)に「堂々と無職」というのが載っていました。あれの、続編です。「堂々と無職」になることに、こんなに励まされるとはね…(あ、ひとりごとです。でもいろんなところから、同様のひとりごとが聴こえてきておりますが、笑)。「無職」だけど、じつに忙しそう。そして、本気で迷ったり考えこんだりしている人は、すごく面白い。じっとしていないしね(笑)。オススメはしませんけど、ま、なんでもいいから生きていきましょう。と、彼女はほかの誰でもない自分を励ましているのでしょうけど、それもひとつの光源になって、読んでいるこちらへ飛んでくるんですね。くり返し、読みましょう。


 今回も、たった48ページの薄い冊子の『アフリカ』ですけど、くり返し読めば読むほど味が出るはずです。くり返し読まなくても、カバンのなかに入れておくとか(お守りか! ってツッコミはありです、笑)、机の前に飾っておいて、たまに手にとってみる、表紙に手を置いてみるだけで、味が出る(?)かも。

 一家に一冊。いや、おひとりに一冊。一冊500円ポッキリです(注1:郵送の場合、送料80円が別途かかります)(注2:送料が無料になる「定期購読6冊セット」もあります)。これから一部店頭販売も、いつも通りな感じではじまる予定ですが、メールで注文して買うのがいちばん手っ取り早いです。「ほしい!」という旨とお名前、住所などメール(harumisong★gmail.com ※★を@に)でいただければ、お送りします。どうぞ、お気軽に!

 部数が少ないので、お早めに。

 本づくりでもイベントでも何でも、今年はますます「ちいさく」「少なく」をモットー(?)にしてやっていこうと思っています。どうして、そうなったか? という話は、また長くなるので、次の機会に。「ちいさく」「少なく」のぶん、近い距離感でやっていきますので、今年もまた、ゆっくりおつきあいくださいね。

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