2013年11月6日水曜日

「小さな歌」たち〜山下達郎「PERFORMANCE2013」

 足を踏み入れるとそこは、路地裏というか、都会の片隅のようなささやかな場所にみえる。歌が歌われ、楽器が奏でられ、そして音楽が生まれる。大袈裟な演出が用意されているわけでもなく、聴き手を驚かせるようなことは一切ない。ただし、歌うこと、演奏するということにおいては恐れず、迷わず、ためらわず、山下達郎という人は、いつも自らに大きなもの、激しいもの、新しいものを課し、果敢な闘いをも辞することがない。(天辰保文)

 いちおう先に書いておきますけど、いわゆる「ネタバレ」と呼ばれるようなことは書きませんのでご安心を。とくに楽曲の名前などは控えておきますよ。


 今年も行ってきました。山下達郎のコンサート・ツアー「PERFORMANCE2013」へ。2008年の年末、旧・大阪フェスティバルホールの最期に合わせて再開された達郎さんのツアー、その「PERFORMANCE2008-2009」から「PERFORMANCE2010」「PERFORMANCE2011-2012」と、今回で4シーズン目、足掛け6年になるんですね。はやいなぁ。達郎さん含め10人のミュージシャンたちの演奏と歌は、ほんとうにものすごいクオリティーで、でも、すっごく「普段着」で(だから達郎さんのコンサートは「お祭り」的なムードがない。「音楽を聴く」とはどういうことか、身にしみて感じられる)、とっても励まされる。
 昨夜の神奈川県民ホール、とってもあたたかい雰囲気で、やりやすそうだった。今夜はライブ・レコーディングをしています、ということだった。
 今回、ぼくには、2008年末を思い出すシーンもあった。ライブ・レコーディングで聴いたことはあっても実際に生演奏では聴いたことがなかった、嬉しい選曲もあった。10年ぶり、15年ぶりに聴く曲もあった。バンド編成では、おそらく今回が初演だろうと思われる曲もあり。夢のようなカバー・ソングもあった。
 コンサートの終盤、達郎さんから「市井」ということばが出た。「小さな歌」ということばも。あんなすっごい演奏をしておいてね(笑)。でも、やっぱり「小さな歌」たちでいいんだよね。

 写真は、コンサート・ツアーのたびにつくられているパンフレット。最近、ますます充実してきていて、今回は『Melodies』と『Season's Greetings』にかんして、対談、インタビューなど合わせて(字数を数えたわけではないけど、達郎さん曰く)4万字! また内容が素晴らしい。「小さな本」というには、あまりに力作。どこまで手を抜かないんだ… と呆れつつ、たのしく読んでいます。

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