2013年12月18日水曜日

「旅」のつづき

 それでも今、私はここにいる。世界を覆う無数の小さな光の群れの下、小さなヘッドランプをひとつ灯して。始まりも終わりもなく続く偶然の連なり。そしてきっとそれは偶然などではないのだ。(中村広子「ゴゥワの実る庭」)

 今年も、もう、あと2週間を切りました。

 『アフリカ』の次号(第22号)は現在、制作(セッション!)中ですけど、2014年1月号となることが決定。今年は結局、年4冊(もうすぐ次が出るので、4.5冊?)で、これじゃあ「隔月刊」ではなく「季刊」ですね。「季刊でいいじゃないか、誰も焦ってないし」という意見もあり、「あれ? もう3ヶ月もたった?」という意見もあるので、まぁ、ちょうどいいペースを『アフリカ』自身がわきまえているのかもしれません。定期購読は「6冊セット」ということにしたので、もし、万が一「どうなってンの?」という方がいらっしゃれば、焦らず、ゆったりお待ちください。とにかく、この『アフリカ』という雑誌、不思議な力を保ったまま、元気に“生きて”いるので、“体調”には気をつけつつ、“旅”をつづけます。

 いろいろ忙しいので、息抜きに音楽の話。クリスマスといえば、ぼくにとっては“音楽”ですけど、15年、20年と聴いていると、毎年、毎年、新しい(クリスマス・ソングのアイデアが詰まった)モノと出会えるかというと、そう簡単には出会えなくなっていて、毎年聴いているものを、聴くくらい。なので、クリスマス・アルバムではないですけど、最近は、これをよく聴いています。


 Donny Hathawayの作品には、ジャズ的なもの、ゴスペル的なもの、いろいろな要素が入っている。セカンド・アルバム『Donny Hathaway』では、「A Song For You」とか、もうちょっとポップ寄りな曲をやっているけど、ファースト・アルバムの『Everything Is Everything』は、ブルース、ジャズ、ファンク、けっこうコテコテなんですよ。セカンドはポピュラリティーを追求していて、『Live!』では長尺を聴かせ、そして『Extention Of A Man』。あれは必殺だった。僕にとってDonny Hathawayは70年代のクロスオーバー・ソウル・ミュージック、R&Bがソウルに変わっていった時代の扉を開けてくれたミュージシャンだった。音楽に境界を作ってはいけない、ってね。(山下達郎)

 なんて達郎先生はおっしゃっておりますが、アメリカのRhinoから出たDonny Hathawayのアンソロジー(4枚組のボックス・セット)。日本盤は、なが〜いブックレットの文章を翻訳するのにお金がかかったのか、けっこうな値段しますが、輸入盤で買えばだいたいどこの店でも3000円前後。かなり安くで手に入ります。
 未発表のスタジオ・レコーディングだけ(こんなに残っていたんですね…)を収めたDisc2と、『Live!』のアウト・テイク(New YorkのライブハウスThe Bitter Endでのライブ音源… これがすごい!)を収めたDisc3が目玉ですけど、Disc1もシングルバージョンや初CD化(たぶん)音源など満載の、充実したベスト盤的内容になっていて、全篇すごく聞き応えがあります。音もすごくいい。デジタル・マスタリングの力、おそるべしです。
 レア音源はもちろん嬉しいんですけど、Disc1に入っているMonoバージョンの音圧(グルーヴって言いますよネ)、素晴らしい。この年末、こればっかり聴いています。
 Donny Hathawayは33歳で亡くなっているので、ぼくはもうその歳を超えてしまいました。しかし、これがほとんど全て、20代の人の演奏と歌とは…

 次回の更新では、『アフリカ』最新号のニュースに触れられますように。また来週。よい年末をお過ごしください。

0 件のコメント:

コメントを投稿